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熱い解説。

 単行本が文庫化するメリット、古本屋的にはあまりない気もしますが、一人の愛書家としては三つくらいは言えます。

 ・ 安くなる。
 ・ カバーが楽しみ。
 ・ 解説が付く。

 先日、『天使』(佐藤亜紀)の文庫版を買いました。単行本は持ってますが安かったので、古本で(笑)。
 すでに何度か話題にしたあの『天使』です。しつこくてすみませんね。
 文庫版解説は、豊由美

 私が今まで豊由美さんの書評を読んだことがあるのかどうか、定かではありませんが、これではっきりお名前を記憶しました。
 なかなかぶっちゃけた解説で、大変な共感を覚えました。何回もうなずきすぎて首が痛いです。言いたいことは全部言ってくれてる、痒いところに手が届く解説でした。

 ほんと、100%賛成かも。

─ストーリーの概要? んなもんは裏表紙ででも確認してくれってなもんである。この小説のまず嬉しいところ、それは美男美女の存在だ。他人の頭の中を覗き込んだり、記憶や知覚を書き換えたり、あるいは人を死に至らしめるという能力「感覚」を備えた主人公ジェルジュ・エスケルスが、ストリート・チルドレンもかくやとばかりの野生児から貴族的な物腰を獲得した背の高い美丈夫に成長していく様を追っていくだけでお腹いっぱい。

─少女漫画やライトノベルに親しんでいる方ならおわかりいただけると思うのだけれど、ジェルジュのようなキャラクターの立った美しい男子が出てくる小説は、麻雀でいえば裏ドラが乗ったようなもので、美男子ゼロ小説の数倍は楽しめることになっているのだ。時に自分自身をも傷つけずにはおかないほど鋭敏な感覚を持った“選ばれし者”の深い孤独と、それゆえ、しっくり合った外套のように身についてしまったニヒリズム。憂愁すらはねつけるジェルジュの硬質な人物造型が実にコ惑的なんである。
(解説より引用)


 しかし、そんなタイプの男子が活躍できるのはSFかファンタジーか歴史小説に限られてしまい、そういう小説は往々にして「文体の味わいに乏しくなりがち」である、という記述に続いて、こうおっしゃってます。

─ジェルジュという女子にとっては夢のキャラクターを中心に置いた、読んで無類に面白いストーリーと、純文芸誌でも滅多にお目にかかれないほど洗練された文体が両立。そんな奇蹟のような小説が『天使』だと思し召せ。


 いや、まったくその通り。よくぞ言ってくれました。
 ライトノベルにはあんまし親しんでないし、裏ドラもわからんけど、大賛成です。丸ごと書き写したいけど、それも疲れるからこの辺で切り上げます。
 解説も傑作ですから、単行本を買いそびれた方は文庫本でもいいんじゃないでしょーか!

天使(文春文庫)天使(単行本)『天使』
 当店のブックレビュー(単行本版の時)はこちらから

 豊由美さんのように達者ではありませんが、やはり「選ばれし者」の伝統と、エンターテイメント要素を描く緻密な文体についてはふれています(エッヘン)。ふれずに通れぬところですよね。


 あ、文庫化のメリット、もう1つありますね。

 ・ 軽くなる。

 持ち歩いたり、車に積んだりして、待ち時間に好きな箇所を楽しもうかな。
 印象的だった解説と、「“選ばれし者”の深い孤独」については、また今度書こうと思います。

好きな本

  •   23, 2009 15:45
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