昔好きだった男 その1

 故あって、『リンバロストの乙女』(ジーン・ポーター)を読み返していました。
 少女の頃、夢中で読んだ本です。

 以下、がっつりネタバレしてみようと思います。
 チョー名作だから、まぁいいでしょう。(知りたくない方はご注意。)

 ヒロイン・エルノラは美少女で、頭もよくて、気立てもよいのに、なぜか実の母親に疎まれています。学費は出してもらえないし、身なりも粗末。
 でも、彼女のほうは母を愛し、明るくたくましく生きています。学費は捕らえた「蛾」を売ることで捻出します。「蛾」ぁ? 昔読んだ時も仰天しました。覚えている限り、一番古いカルチャーショック?
 田舎から学校へ行くのは大変で、着る物や持ち物、いろいろ馬鹿にされることはありますが、機転をきかせたり、人に助けられたりして、乗り切ります。この、無駄に着物や持ち物にページを割くところも、少女小説伝統の楽しみなんですよね~。

 エルノラの母がエルノラを愛さない理由は、途中で分かるのですが、いろいろあって、その後は優しいお母さんに変身します。
 物語はそれでハッピーエンドではなく、母変身後は、ロマンス編に突入。
 街から金持ちの子息・フィリップがやってきて、病を癒すためにエルノラの家に滞在します。おぉ。

 彼は、出会って2日目には、婚約者がいることを打ち明けます。おぉ。フェアな男です。婚約者は大変な美人らしいです。おぉ。どうやら、エルノラが野の花なら、婚約者エディスは薔薇の花、的な感じです。このエディス・カーが!
 子ども心に、私、非常にエディス・カーに憧れました。セレブで、高慢ちきで、浪費が大好きで、「男はみんな私に夢中」と思ってて、やな感じで、めちゃんこわがまま。相当ダメ女です。「男はみんな私に夢中」と思ってることを隠さない正直さが唯一いいとこ? みたいな(笑)。
 でも、なかなかでしょ。そういう女、むしろ憎めないと申しましょうか。
 エディスには、「婚約していてもかまわない、あなたを未来永劫愛しています」と言ってくれる崇拝者がいます。ハート・ヘンダソン。これがイイ男で。私は、断然、ハートが好きでした。

─背はエディスよりも高く、やせた男で、明るい色の髪は短く刈り込んであり、顎は角張り、全身に世馴れた男という印象が書き散らされてあるようだった。


 少女時代、そんなん大好きでした。世馴れた男・ハート、大好き。
 王子様みたいなフィリップより、女たらし風ハートが好き。ですよね?

 また、ハート・ヘンダソンは言います。

─「今後、僕は生きているかぎりあなたの奴隷になります。あなたはどんなことでもしたいようにしてよろしい、それでも僕がふたたびあなたの前にひざまずくものと思っていなさい。だからこのことをあなたの胸の底にしまっておきなさい。いつなんどきであれ、いかなる場所であれ、状態であれ、ただあなたが手をあげただけで僕は来ますよ。どんなことであれ僕に望むことはします。僕は待つことにしました。僕を必要とするなら口で言う必要はありません。ごくかすかな合図を下さるだけでいいんです。あなたが生きているかぎり、僕はそれを待ってどこか身近にいますから」


 もうどんだけ好きなのか、ハート。
 よくも恥ずかしげもなく。
 でも、そんなこと言われたかったなぁ、昔。すごーく。アホだったなぁ(笑)。でもそれは今も変わらず、女(私だけじゃないよね?!)の言われたいことなのではないかと、ちょっと思ったりして。


 あ、なんか長くなってきたので、また明日。
 アホっぽい話で続いてすみませんね。

リンバロストの乙女『リンバロストの乙女 角川文庫』(ジーン・ポーター)

好きな本

  •   11, 2009 23:18