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昔の悲しみ。

 島村洋子さんは、御自分について「熱効率がいい」と書いていたように記憶しています。熱しやすく冷めにくいんだって。主に恋愛関係が。焼けぼっくいに火がつきやすいみたいですよ。それでいくと私も熱効率がいいです。恋愛関係じゃなくて、悲しみ関係で。すぐ泣けて、ずーっと悲しいし。トシかな?

 そのせいか、SF等で「体は不死になってもそれほど長くは生きられない、心がそんなに長い人生に耐えられるようにできていないから」みたいな感傷に出会うと、感じ入りがちです。(※1)
 また、「時を経ても、昔の悲しみが不意に胸を刺す」のがテーマの物語、あるいはそんなエピソードのある話に著しく共感する傾向にあります。

 先日、深夜に映画をやっていました。『美しい人』(ロドリゴ・ガルシア監督)

─9人のアメリカを代表する女優陣による、9つの美しき物語。傷ついた宝石が、そこにより光をためて輝きを増すように、どんな人生の傷をも受容する彼女たちは、女優としてもさらに光輝く――。(あらすじより)

 最後のエピソード「マギー」が、まさに「時を経ても癒えない悲しみ」エピソードで、墓前のグレン・クローズとダコタ・ファニングの会話が微笑ましければ微笑ましいほどほのぼの悲しい。「疲れたわ」とダコタの膝枕で目を瞑るグレン・クローズが最高潮に悲しい。最後に意外な真相アリで、それも悲しい。
 私の好きなアクションでもサスペンスでもありませんが、私の好きなオムニバスで、女心のさまざまな瞬間を巧みに写し取った、良い映画でした。(※2)

 ダコタちゃんの膝枕で眠るように、泣いてしみじみ「良い映画だったな」と思うように、「昔の悲しみ」には、じつはそれに耽ることで得られる「癒し」や「甘やかさ」もなくはないんですが、まったくないんじゃないか、と想像してみるしかない種類のこともあります。

 最近入荷した『いづみ語録』(鈴木いづみ/文遊社)は、娘さんの鈴木あづささんが編集とあとがきを担当しています。鈴木いづみさんは自殺しており、ここにも「癒えない悲しみ」があるのは当然でしょうが、事情を読んで、まさかそこまでのこととは思ってなくて衝撃をうけました。

 そして、その時が来て、ついにわたしは目のあたりにした(ときどき、いろいろな方の文章で『子供が眠っている間に、パンティストッキングで…』というのを見かけることが多い。でも、私はきちんと起きて、見ていた)。
 前々から予感はしていたものの、あまりの驚きと冷めた気持ちが相半ばした子供のわたしは助けることができなかった。ついに来たか、と長い時間、パンストで自らを断つ母を見送り続けた。
 今でももちろん、あの時は殴られてでも助けるべきだったのか、あのままでよかったのか、どちらが結局本人にとってベターだったのかを考えることが多くて、気が狂いそうになる。そして、最近になって、一生、母とあの時の死を忘れずに受け止め続けることが、わたしにできることであり、大切なことなのだということが、はっきりと見えてきた。
(あとがきより引用)



いづみ語録 その日までのいづみさんの様子についても、娘さんらしい視線で言及してあり、どんな想像の言葉を聞かされるより納得できて、短い言葉で映し出される一人の大人の女の姿を忘れられなくなりました。
 「鈴木いづみ書誌」も収録されているので、ファンは持っておきたい1冊だと思います。

 ※1 『ポーの一族』には「いっしょに行こう 一人ではさびしすぎる」的な台詞があったはず。これもバリエーションだと思います。『ポーの一族』は入荷するたび売ってしまうので、手元にないんです。だから不本意ですがうろ覚え~。年末ガッツリ読もうと思ったのに~。

 ※2 女心の映画と言えば、ダイアン・レインの『運命の女』が、意外に面白くて、つい最後まで見たことがあります。幸せな家庭があるのに、偶然出会った若い男との恋にのめり込んでしまう美しい人妻。家庭と恋は別。男と会っていて子供の送り迎えに遅れてしまうような罪悪感はあっても恋とは別。ってあたりの諸々の描き方がすごくリアルなんです。
 下手をするとただのバカ女に見えるところを、誰にでも覚えのあるような気持ちにさせる細やかで力のある描写力が凄いです。絶対女性監督だと思ったのに、違うみたいです。ほほぉ~!


ちょっと言いたい本見た映画

  •   23, 2010 16:18
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