ベストセラーにもの申したい。

 クリスマスつながり箱つながりの両方に入れられる本として注目していたベストセラー『クリスマス・ボックス』(リチャード・P・エヴァンズ)を読了。
 はっきり言って、あまりのつまらなさにびっくり仰天しました。

ひょんなことから、老婦人の住む豪奢な館に移り住むことになった「わたし」は、ある日、屋根裏部屋で美しい小箱を見つける。その箱に隠されていた秘密とは? 「人生でいちばん大切なものは何?」永遠の問いへの答が告げられる、まさにその時…。雪が降り積む天使像に、世界が涙した感動のベストセラー(あらすじより)


 もちろん読んで涙が出ましたよ。

 が、しかーし!!

 私は大声で言いたいです。「作品の良さ」と「泣けること」には、何の関係もなーい!皆無。ナッシング。それとこれとは話が別。
 「泣ける本」で、良い本や面白い本はたくさんありますが、「泣ける本だから良い本」ではないんです。「泣けるけどアホみたいな本」や「泣けるけどアホみたいな映画」は山ほどあるっちゅーねん。
 私は非常に涙もろいので、「ペットが死ぬ話」「恋人が死ぬ話」「おじいちゃんが死ぬ話」と聞いただけで涙が出るし、リチャード・ギアが「ハチー」と言ってる予告を見る度にうっすら涙ぐんでいましたが、「なんであんな映画作るんだろ」と思ってます(見てない)。多分、実際に見ても、「だから?」と思う自信がありますね(ごめんよ)。号泣しながら、「だから?」と思うはず。

 「泣ける話」はハードルが低いんです。だいたいの人が「死ぬ話」で泣けるでしょ。
 ある映画の同じ箇所で泣ける人が居たとして、その人と気が合うかと言えば、大間違い。だいたいの人が泣くから。
 そこへ行くと、同じ箇所で笑う人とは気が合うんじゃないかと思います。

 確か『男女7人夏物語』でも(トシがバレる)、先日再放送していた『ロング・バケーション』でもそんな場面があったと思うんです。小説『赤毛のアン』にもありました。アンが理想の男ロイ・ガードナーと一緒にいるとなんかつまらない。ギルバートとめっちゃ笑い合った冗談でロイはぼんやりしてるだけ。なんか違うんじゃない…?
 視聴者も読者も、そういう場面を見ると「だから、あっちの人のほうが運命の相手なんだってー!」と思うわけです。実際思いました。
 ただ、フィクションはともかく実生活では、同じ箇所で笑う相手を好きになるかと言えば、そうでもないんですけどね。でしょ? そういうのは友達に過ぎなくて、むしろなんか違う人に「ほぉ!」と思ってることが多い気がします。私だけですか?

 というわけで、話がそれましたが、『クリスマス・ボックス』は泣けるけども、感心しない しょーもない よくあるタイプの話で、いったいなぜこれがベストセラーになったのか、理解に苦しみます。
 著者が二人の娘のために書いたという本書は親戚や友人にまわし読みされ、自分で創設した出版社から出した初版8000部は売り切れ。口コミだけで全米ベストセラーに。版権はオークションにかけられ4億以上で落札されたんだって。
 アメリカ人、どうかしてる。と思ったら、結局世界中で1100万部以上売れたんだって。
 ま、訳者さんがあとがきでおっしゃる通り、「この本に納得するのは子育てを終えた年代」だそうですから、独身の私の心に届かないのは当然かもしれません。それにしてもどうかと思いますよ?
 読後、久しぶりに「はぁ?!」って言ったもん。
 あらすじがちょっぴりミステリアスなんだもんだから、気になって読んだけど、終わってみれば何の意外性もなく…

 未読の方で、「はぁ?!」って思いたい方は、どこの古本屋にもあるし、単行本も文庫本もどこにでも何冊でもあるし、15分で立ち読みできるし、ちょっと読んでみたらいいです。
 私はこういう本を許しません。

ちょっと言いたい本

  •   17, 2010 00:42